今週は厚生労働省が2018年10月1日に発表した「GDPに占める企業の能力開発費の動向」のグラフを紹介します。
能力開発費とは、企業が社員の研修にかける研修費のことです。従って、職場の上司や先輩が日常的に指導する"OJT"研修は含まず、社内外を問わず職場を離れて受講する"OFF-JT"を対象にしています。
下のグラフをみると、日本の能力開発費の割合は欧米5か国に比べて非常に低いことが見て取れます。他国がGDPの1%以上を投下しているのに対して、日本は0.1%と、10倍以上の開きがあります。
実際の投資額で見ると、能力開発費への投資の割合が一番高い米国は2010-1014年の米国の実質GDP平均を計算すると約16兆2063億USドル/年です。(1USドルを130円換算として計算すると、約2106兆8190億円/年)米国はGDPの2%を能力開発に投資しているので、単純に計算すると、約42兆1363億円となります。 日本の同時期の実質GDPは、約500兆3499億円/年 (※)で、能力開発費への投資は0.1%なので、5003億円です。つまり、米国の能力開発費に対して日本のものは約1%しか投資していない割合となります。この数字は日本企業の"人に対する想いの低下""の現れであると認識してます。また、この事象は日本リーダーを問い直す時期に来ているとも考えます。なぜなら人に対する投資の意思決定はリーダーの仕事だからです。このままでは他国との差はますますひらくばかりか、発展途上国に次々と抜かれていくでしょう。人的資本を最大化させることが唯一日本を前進させる方法だと筆者は考えております。日本人が外国資本による労働奴隷のようになるのは見たくないものです。
※人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。
次回はOJTについても書きたいと思います。
ダイナリンクス合同会社
代表 松井康成
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